第3話

ローラーブレイド以降、学校でも会えば挨拶くらいはするくらいにはなりましたが、それより先には進みません。その当時、私には日本に彼氏がいましたから・・・。
普段彼は放課後、すぐに帰宅してしまう人でした。私は友達と待ち合わせて勉強会だったり、病院ボランティアだったりと、あまり接点がない2人でした。
週に何回か放課後にやったローラーブレイドの練習くらいでしょうか。University of Albertaのキャンパスやスーパーの大きな駐車場が私たちクラスメイトの練習場所でした。

Reneeの送別会

クラスメイトのベネゼーラ出身のReneeが帰国することになり、いつも一緒に出掛けていた仲間が集まり送別会をすることになりました。(あぁ・・・心のとっても暖かいRenee、今でもなお私たちは彼を忘れられません。約束通りいつかきっと合に行きたい!!)
その時私たちは離れた席に座り、何も進展なし。でも、私は彼の存在が気にはなっていました・・・。

E-Mail

いつからでしたか、E-Mailの交換をするようになりました。初めは他愛のないメールの交換。学校の友達同志が交換する普通の友情メールでした。
しかし、2人の仲が近づくにしたがって、彼のメールの中に友情ではない他の感情を表現されるような言葉が見えはじめたのです。
そのチラホラと変わってくる彼の感情に動揺しつつも、私は、日本に彼氏がいるのだということや私の方が1つ年上ということで、彼には平成を保とうとしていました。

バンフ旅行

校長先生の計らいで、私たち語学留学生達も一緒にバンフ旅行に行く企画が立ちました。前々からとっても行きたかったバンフだったので、私は参加と即答。そして、いつも授業が終わると即行帰るあの彼も参加を決めたのでした。
それを知り、心が躍ったことを今でも覚えています。

いつも一緒に

旅行に出ると思い切ったこととかすることありませんか??日常から離れることによって、気持ちが大きくなるというか、度胸が付くというか・・・。旅行中、私はとっても大胆・・・というか、積極的だったと思います。
クラスメイトでも仲のよかったジャック・テヨン・ジュン、そして唯一の女の子ベネゼーラ出身のマリアと一緒にいることもありましたが、私はなるべく彼と一緒にいたいと思い、出来る限り近くで行動していました。今思うと、仲のよかったクラスメイト3人にはバレバレだったかも・・・。
ゴンドラ、ボート、温泉プールで、移動の車中で・・・。恋人同士ではなかったけど、2ショット写真が沢山できました。

罪悪感

毎週日曜日の朝6時(日本時間の夜10時)に、日本にいる彼氏に電話をするのが約束事でした。当然、旅行中も日曜の朝6時に早起きをしてモーテルの部屋から電話しました。
それまでの1週間の出来事、バンフに旅行に来ていること、日本での様子、彼氏の仕事のこと・・・。
語学留学に行きたいという私を快く送り出してくれた、その彼に罪悪感。「私の中の他の人へ対する興味」があることに対しても、勿論そうですが、それまでにも「私はほぼ遊んで生活しているようなもので、仕事で大変な彼へ対する申し訳なさ」「週1回の電話のためにこの時間に、必ず自宅に居るようにしていてくれていた事に対する不憫さ」。
日本でも私たちは静岡と三重の遠距離だったので、それ以上にコミュニケーションがうまく取れなくなり、私は彼にとても申し訳ない思いをしていたのです。
日本にいた時以上に簡単には口にしてはいけない「会いたい」。会えなくて寂しい気持ちをぶつけたくても、それをしてしまったら、仕事でそれどころではないだろう彼に多大な負担をかけてしまう。反面、時に沈んだ声の彼を励まそうと明るく振る舞っても、現実から離れて自由気ままに過ごしている私が言っても、彼の気に触るだけなのでは、と思ったり・・・。
彼に対してどう話せばいいかわからなくなってきた私は、だんだんそれが負担になってきたのです。そして、「日本に居る彼が好きなんだ」と、自分に言い聞かせ、周りの友達にもそれを話すことで、自分の彼への気持ちを保とうとしていました。

旅の終わりに

帰りの車中、私たちはずっと隣同士でした。ジャックと3人でふざけて手を繋いだりとかも。私のステイ先が校長先生宅の近所だったこともあり、私は皆よりも一足お先に下車しました。
私と何か話をしたそうな彼。でも、彼は他のメンバーの手前、下車することなく学校まで行き解散。
この旅で私たち2人の気持ちは不確かながらも、距離は少し近づいたのでした。