第2話

ドキドキの始まり

よく一緒に遊びに行く割にあまり接点のなかった彼でしたから、どんな人なんだろうという好奇心はありました。

私の荷物

クラスメイトの皆がローラーブレイドを始めるということで、運動のうの字からも遠ざかっていた私も、彼らと一緒に始めることにしました。皆で世界最大のショッピングモールWest Edmonton Mall」でローラーブレイドを購入。勿論、彼も一緒でした。
買い物後、呑みに行こうということになり、バスで移動。その間私のローラーブレイドを持ってくれたのです。自分の分もあるのに。人に自分の荷物を持ってもらうことがあまり好きじゃない私は、何度か「自分で持つから」と言っても返してくれない彼。それを当たり前のことのように私の荷物を持ってくれたのでした。
そんな彼の後ろ姿を見て、今までの単なる好奇心でない感情を覚えたのは、この時だったと思います。

隣の席

しかし実はその当時、私には日本にいわゆる彼氏がいたのです。この好奇心以外の感情が芽生えてしまったことに気付いた私は、彼から遠ざかろうとしました。皆で行ったバーでは離れた席に座って他のメンバーと一緒にいようとしたのですが・・・。なぜか彼自身が私の隣に座ってきたのです。でも、私は彼ではなく他の友人と会話をしようと努力していました。
努力していても隣の席。当然少しは会話をするものです。
翌日の日曜にクラスメイトのジャック(通称*1です)のホームステイ先で夕食会をするということで、私にも誘いがありました。翌日に特に予定もなかった私は了承。ジャックのステイ先は知らなかったため、お互いのステイ先が近い私と彼が一緒に行くことになったのです。

バスの中

乗り換えをしなくてはならないほどジャックのステイ先は遠い場所にありました。バスの中では初めて長い会話。しかも、結構プライベートな事まで話しました。
とっても尊敬していた叔父さんが亡くなってしまったこと、彼の財布はその叔父さんからのプレゼントで形見として持っていること。その叔父さんの子どもはまだ小学生で、母親は食堂を経営していて忙しいから、クリスマスなんかの時には彼女とではなく、そのまだ小さな従兄弟と過ごしてあげること。夢は叔父さんと同じパイロットだったけど、目に異常があって断念したこと・・・・。
従兄弟について「可哀相だから」っていうのには、「はぁ???」と思ったけれど、第一印象の時とは違い、心が暖かくて優しい人なんだと思いました。
話し込んでしまい、気付くと車窓から見覚えのある景色が・・・。もしかしたら???と思い、他の乗客に尋ねると、ヤッパリ私たちは降りるべきバスターミナルで降り損ね、Uターンして来てしまったのです。結構抜けたところもあるんだと、発見。

運動のセンス

夕食前に少しローラーブレイドの練習に行こうということで、私と彼、ジャックの3人で近くの公園へ。皆初めてだというのに、なぜか彼だけ上手。飲み込みがが早いのです。同じ初心者のはずだったのに、彼は私たち2人のコーチと化していました。
公園でひと休み中、なぜかカメラを持って来ていたジャックの勧めで初めての2ショット写真。ちょっと抵抗あったけど、強く拒否るのもと思い撮ってもらいました(写真を携帯カメラで撮ったものなので、ぼかしがかった感じ・・・)。

ステイ先への帰り道、未だにヨチヨチの私たち2人を「まるでbabyだな」なんて言う彼に少しムカツキながらも、スマートにこなしてしまう彼を羨ましく思い、また、頼り甲斐も感じていました。

*1:韓国人の名前は覚えにくく、また、発音もし難いため、韓国人留学生は大抵通称を使います